MQサーバー

MQ Server for Industrial IoT

img_01↑NTT WebARENA Indigoの写真

概要

MQ Server for Industrial IoTは、産業用IoT環境に最適化されたMQTTブローカーサーバーシステムの構想です。本システムは、低コストで安定的なIoT用データ通信を提供することを目的としています。産業用IoTシステムにおける問題は、データのブローカーシステムをどのように安定的かつ低コストに運用するかである、というのが本サービスを検討開始した動機です。

検討開始時期

  • 2024年12月01日

開発状況

  • 企画構想段階

産業用IoTにおけるブローカーシステムの重要性

産業用IoTシステムにおいて、データの管理を担う「ブローカーシステム」は安定性低コストが非常に重要です。これについて説明するために、代表的な通信プロトコルであるMQTTを例に挙げてみましょう。

1. IoTシステムの基本構成

IoTシステムは大きく3つの要素で成り立っています:

  • 発信機材(Publisher): データを送信するデバイスです。例えば、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やArduinoなどがこれにあたります。これらの機器は主に他の業務を行っているため、データ送信の負担は最小限に抑えるべきです。
  • 受信機材(Subscriber): データを受け取って表示する機器で、例えばスマートフォンやPCがあります。スマートフォンなどはリソースが限られているため、処理が軽量である必要があります。
  • 管理機材(Broker): データの中継や管理を行うサーバー。これが重要で、ここでの安定性とコスト効率がシステム全体に大きな影響を与えます。

2. 管理機材(Broker)の設置方法

IoTシステムの設置において、管理機材(ブローカー)の設置場所や方法は非常に重要です。特に中小企業では、IoTシステムに割り当てられる予算が限られているため、できるだけ低コストで運用できるシステム構成を考える必要があります。

例えば、最も安価な方法として、ArduinoW5500 Ethernetシールドを使ったシステムを考えます。この場合、Arduinoでローカルネットワーク内のサーバーを立て、データを受け取りつつ複数の端末にデータを送信することができます。しかし、Arduinoはその基本的な処理能力が限られているため、リアルタイムでデータが増加すると処理が追いつかなくなります。

次に、ラズパイを使う方法も考えられます。ラズパイを使えば、処理能力が向上し、データの送信や管理が可能になります。しかし、ラズパイにはストレージやメンテナンスの問題があり、長期間安定して運用するためには追加のコストが発生します。

3. ラズパイの導入とコスト

ラズパイを使用する場合、例えばラズパイZeroの場合、以下のような追加コストがかかります:

  • ラズパイZero本体:3,000円
  • microSDカード:500円〜1,000円
  • ケースや電源アダプター、その他の付属品

これらを合わせると、能力の限られたラズパイZEROで5000円程度、もう少し余裕を持ったラズパイであれば10,000円~30,000円のコストがかかります。また、ラズパイを長期間安定して稼働させるためには、ハードウェアのメンテナンスが必要であり、故障や交換のリスクもあります。

4. VPSを利用した解決策

これらのハードウェアの問題を解決するために、VPS(仮想専用サーバー)を利用する方法があります。VPSを使うと、物理的な機器を現場に設置する必要がなく、メンテナンスも最小限で済みます。例えば、NTTのWeb ARENA VPSで、月額319円で以下の性能を提供するプランがあります:

  • メモリ768MB
  • 1vCPU
  • 20GBのディスク

これにより、ハードウェア設置場所の問題や、電子機器の過酷な環境における稼働問題を回避できます。また、VPSの運用はほとんどメンテナンスが必要ないため、長期間安定して稼働し続けることができます。

5. コストの比較

VPSを使う場合、月額319円が30,000円を超えるまでに約7年10ヶ月かかります。15,000円を超えるとしても約3年11ヶ月はかかります。この期間で、ラズパイやラズパイZeroであれば、ハードウェアのメンテナンスや交換の必要性が出てくる可能性が高いです。

6. VPSを使うメリット

  • メンテナンスの手間が少ない: ハードウェアの故障リスクや交換作業が不要です。
  • 現場環境に強い: 現場の過酷な環境でもVPSは安定して稼働できます。
  • コスト効率: 長期間運用しても、VPSの方が圧倒的にコスト効率が良いです。

結論

産業用IoTシステムにおいて、データ管理を担うブローカーシステムの選定は、どこで、どの機材を使って運用するかが非常に重要です。その結果、運営や維持に必要なコストが決まってきます。限られた予算の中で、VPSなどの低コストで安定した運用方法を選ぶことが、長期的に見て最も効率的な方法となるのです。

検討開始時期

  • 2024年12月01日

開発状況

  • 企画構想段階

構成要素

MQサーバーサービスは、次の要素が含まれます。

  1. NTT Web ARENA VPSを利用したMQTTブローカー
  2. 1のデータを受信し、IoTとして利用できるスマホ及びPC対応アプリケーション
  3. 上記1について開発情報を公開し、開発者は自由に利用できるようにする。
  4. 上記2について無料で公開し、ユーザーは自由に利用できるようにする。
  5. 3の公開情報を踏まえ、当社に開発を依頼したい顧客は、開発を依頼できる。